『その他のオランダ血統 *その1』

〜最強の長距離軍団〜
    カイパー兄弟Gebr.Kuypers鳩舎の紹介

 カイパー兄弟鳩舎が強豪鳩舎として世に知られるようになったのは、1973年のポーINレース総合21位入賞、更にその翌年の同レース総合9位入賞を最初とする。
 しかし、兄弟が真の世界的長距離チャンピオンとして認められたのは、1975年と翌1976年のバルセロナ
INレースであった。この2年彼らは連続してIN13,301羽中総合13,16位、IN11,016羽中総合4位,17位という、つまり総合20位以内2羽入賞という驚くべき快挙を成し遂げたのである。勿論、このような記録は長いバルセロナINレースの歴史にも前例がなく、彼らの名は一挙に世界に広まったのである。この年(1976年)にヤン・テーレン鳩舎に初めてカイパー兄弟鳩が導入されている(バルセロナT(73-1364113)の同腹の直子であるNL76−578152である)。この鳩とNL77−504との直子にリーズベット(78-934525)がいる。リーズベットはサンバンサンN総合優勝、翌年同レースN総合36位に入賞。
 彼らのファンバンロ−イ鳩は、現在でも同じラインから数々のチャンピオンが誕生している銘ラインで、またポーの雄鳩やその妹はカイパー兄弟が最初に導入した853ヴェッジェンス(この鳩が基礎鳩)という鳩の3重近親になる親子交配から作出された鳩である。
 この当たり交配は、更にその後も続けられその後3兄弟の他にも3羽の妹鳩達が活躍した。これら一連の兄弟姉妹が近年のカイパー兄弟の基礎を築いたのである。その後もカイパー兄弟は様々な改良を試み、その殆どが成功しているのは如何に彼らの手腕が優れているかを物語っているが、中でも1988年にダックスNレースで総合2位に入賞し、翌1989年のサンバンサンNレースにおいて3地区最高分速で総合優勝した“ベアトリックス・カイパー”は、正に彼らの代表傑作と言える。

【1970年代の代表チャンピオン:バルセロナN総合順位】

 Barcelona=1136k 1974年 1975年 1976年  1977年 1978年 1979年 1980年 1981年 1982年 1983年  
72-  577053  U 21位 2位 116位 44 95位            
73-1364113 T   3位 1位                
73-1364192 V     3位 447位 54位 13位          
76-  578113           298位 7位   221位 38位  
77-1717515           99位 13 87 493位    

【バルセロナT・U・V・全兄弟姉妹の血統】



    〜 
2003年1月3日 チャンピオン誌1991年2月号から 一部改正 〜

 

【1980年代の代表チャンピオン:バルセロナN総合順位】

  Barcelona=1136k  1983年  1984年  1985年  1986年  1987年  1988年
NL78−928098   3位
NL81−234732  15位  165位  58位   223位
NL83−1062017  17位  78位
NL84−157989   6位

 1974年から続いているバルセロナの入賞記録は特筆に値する。
*NL78−928098『ポーの雌』、*NL81−234732『スペインレーサー』いずれも銘鳩である。また、バルセロナレース以外でも、上記写真のNL86−1618530は1987年ベルジェラックN2位、NL84−158044は1986年サンバンサンN8位、NL85−1892347はダックス3回サンバンサン2回の入賞をみることができる。何と素晴らしいことだろうか!

 〜 2004年1月28日(水)追加 チャンピオン誌から引用 〜



*『スピン(H67−821892)』は、以前有名なアールデンのド・37の孫と記載しましたが、ファンバンローイや「アールデンT」「クライネナウト」で知られるファンデンブルフの資料より、ド・37とは関係がなさそうなので訂正しました。一部、そのような記載もありますが当HPでは上記のようにします(2003.02.03)。

※ 次回は、『ポーの雌』や『ベアトリックス・カーパー』を紹介したいと思います。

 第2弾は、1980年代以降の代表CHから見る交配手法を探ります。基礎鳩からゴールデンペアを発掘し、それらを異血で割る作業は日本でも日々言われるところですが、これほどまでに長い年月を経過しながらも成績を維持し続ける交配手法を見習いたいものですし、目指したいものです。

 前回は、カイパー兄弟鳩舎がバルセロナNレースで2年連続総合20位以内2羽入賞を果たし、鳩界から一躍脚光を浴びた1970年代を中心に見てみました。基礎鳩『853ウェッヂェンスH66-584853)』より作出した「H69-1257869BC♀」とファンバンローイ作の「ゾーンスピン(H71-1393807BC♂)」は正にカイパー兄弟鳩舎のゴールデンペアとなりました。これらゴールデンペアから作出された代表鳩から1980年代から1990年代に活躍する鳩を作出した交配手法を代表鳩の血統を追うことで見てみたいと思います。ここに取り上げる代表CH鳩は『ポーの雌』『ベアトリックスカイパー』『ズワルチェ(ズワルチェバルセロナ)』の3羽です。

 ポーの雌NL78-928098B♀)』はバルセロナIN12,146羽中9位、ポーIN2,553羽中2位入賞を果たした鳩です。2つのレースで共に♀部門第1位というすばらしい翔歴を残しました。『ポーの雌』はゴールデンペアの直子にE.マテルヌ作を掛けて共同作出した鳩です。『ポーの雌』やこの全兄弟は種鳩としても重要な位置を占めました。

 『ベアトリックスカイパーNL85-1892347B♀)』の翔歴は以下の通りです。
 1986年 ダックスN   12,186羽中 189位
 1987年 サンバンサンN 22,596羽中 205位
        ダックスN   15,473羽中  85位
 1988年 サンバンサンN 23,412羽中 421位
       ダックスN   15,388羽中   2位
 1989年 サンバンサンN 26,305羽中  優 勝
 『ベアトリックスカイパー』は、『ポーの雌』の全兄弟にM.ファンヘール作を掛けて作翔した鳩です。M.ファンヘールは『ドル』で有名なヤン・アールデン系です。

 『ズワルチェNL94-1881320)』は、1996年バルセロナIN総合3位に入賞したBLKCの鳩です。ズワルチェはBLKCの羽色につけられる名前で鳩の映画「ズワルチェ」は有名ですね。BLKCの羽色はファンバンローイから来ているようですが、この鳩にも『ポーの雌』や『ベアトリックスカイパー』の父の血が流れています。

〜 2003年1月25日(土) 〜

※ 次回は、『ポーの雌』『ベアトリックス・カーパー』『ズワルチェ』の血統を紹介したいと思います。

 『カイパー兄弟鳩舎』の長年にわたる活躍には胸が高鳴りますね。今回のコンテンツから交配論の何かが参考になれば幸いです。自分もやってみたい交配が見つかった気がします。

〜〜平成15年1月27日(月)〜〜