『アールデン系 第6弾』

〜ヤン・アールデン系の巨星〜
    ピート.ラーズロームPiet Lazerom鳩舎の紹介

 ラーズローム鳩舎は、M.ファンヘール、ファンデウェーゲン鳩舎同様、主としてアントン・リヒテンベルクとヘンク・ファンアグトマールからの正統なヤン・アールデン系を作出・使翔していました。

 そのオランダ国内での評価は高く、分家での活躍は最も顕著です。ラーズローム鳩舎から輩出されたヤン・アールデン系使翔鳩舎での活躍をちょっと拾っても、
*サンバンサンN総合優勝 :ファンゼルデルン兄弟
(1985)
                A.ウェスターハイス
               J.カイパー
                      ファンゼルデルン兄弟(1992)
*ポーN総合優勝     :C.コックス(INも)
                スプレンケルス夫人
               ヤン・ペーテルス
                テン・ハーヴェ
*ダックスN総合優勝   :E.ファンズンデルト
              ヴェンマンス=ヴステンブルク
              ファンデリンデ=フェルシューエ
(1978)
              M.フェルモイレン
ベルジェラックN総合優勝:ファンゼルデルン兄弟(1979) 
              
ファンゼルデルン兄弟(1981)
*ボルドーN総合優勝   :W.ピーマン
              D.ファンダイル
*バルセロナN総合優勝  :ファンゼルデルン兄弟
(1986)
といった成績が出ています。

 ラーズローム鳩舎は、1971年のバルセロナNレースで只3羽のみ参加し、N総合20位、21位、43位入賞という成績を挙げたことで一躍有名になりました。その伝説的快挙を成し遂げたのが、
“Seriewinnaar02”
NL67−1561002…21位
“Seriewinnaar03” NL67−1561003…43位
“Seriewinnaar18” NL67−1561018…20位
の3兄弟です。次回はこれらを生んだ代表種鳩とその譜系を紹介します。〜〜以上第1回〜〜

(CHダイジェスト誌1990年4月号より 一部改)2001年2月8日(金)

 

*第2回はバルセロナNレースで只3羽のみ参加し、N総合20位、21位、43位入賞という成績を挙げた全兄弟の両親と他の代表種鳩について紹介します。

                祖父)H54−696265
父)オード・リヒテンベルク
  H64−1096022   祖母)”Late van Vliet”
  アントン・リヒテンベルク作

                祖父)H58−314945
母)ド・500          
ヤン・アールデン作(ド・37直子)
  H61−141500    祖母)H54−696797
  ヘンク・ファンアグトマール作   “ロンバウトの雌”(フェルナール経由)

 (オード・リヒテンベルクの血統はアールデンブックより)

 

 以下は、P.ラーズロームの1990年競売リストの種鳩紹介ページから要約。

オード・リヒテンベルクOude Lichtenberg)”は、アグトマールが競売で導入したPure Jan Aardenで、後にラーズローム鳩舎へトレードされた鳩。この鳩は、ファンデウェーゲン鳩舎の基礎鳩『オードドファーチェ(Oud Doffertje)』、ファンヘール鳩舎の『ド・ドル(De Dolle)』と近い血縁関係にある。

De・500は自身がアングレーム750k22位、ダックス49位の翔歴を持つ偉大な種鳩である。“オード・リヒテンベルク”同様ラーズローム鳩舎は元より、ファンデウェーゲン鳩舎・ファンヘール鳩舎にも影響を与えた鳩である。直子には上記3羽以外に“De 26“(65−567226)が有名。

De2665−567226 ♀).ラーズローム作翔

  父)“オードストッフェレン(Oude Stoffelen)”
     58−315130 ヘンク・ファンアグトマール作

  母)“ド・500” ヘンク・ファンアグトマール作 

  翔歴)・ダックスN4位
    
・ダックス6位
    
・サンバンサン13位
    
・ダックス16位
    
・サンバンサン17位
    
・ダックス44位
    
・ダックス74位他2回入賞
    
・サンバンサン2回入賞
      ・ベルジェラック1回入賞  
      (9歳のとき、オランダ・マラトン
を獲得)

【他の基礎鳩となった種鳩】…同競売リストの種鳩紹介ページから要約

オード・シュプルートOude Sproet)H66−2029053 ♀
 
P.ラーズローム作翔
翔歴)・サンバンサン2位
  
      ・ダックスN21位(翔歴はアールデンブックより)
父)“ド・10”(56−472110)
     
アントン・リヒテンベルク作
母)“オード・ストッフェレンの雌”
 

De02Seriewinnaar02) NL67−1561002 ♀
翔歴)・バルセロナN
15位21位35位他2回入賞、
       ・サンバンサン2回入賞、
       ・ダックスN2回入賞  
   
(ウェスター・ヒュース鳩舎へトレード)

De03Seriewinnaar03) NL67−1561003 ♂
翔歴)・バルセロナ
43位
  
(クローウェルポールマン鳩舎へトレード)
直系)・ダックスN総合優勝:ファンデリンデ=フェルシューエ
(1978)
    ・ベルジェラックN総合優勝:ファンゼルデルン(1981)

De18Seriewinnaar18)  NL67−1561018 ♂
翔歴)・バルセロナN20位

ゴールデン(フーデン)クラックGouden Crack)NL69−2096674 ♂
翔歴)・ダックスN41位他2回入賞
   
・サンバンサンN42位他1回入賞
    ・ベルジェラックN入賞
   (72年オランダ・エースピジョン賞1位獲得)

父)“ド・38”の直子
    ヤン・アールデン作
母)“オードシュプート”(
Oude Sproet)NL66−2029053…前記参照
 
   P.ラーズローム作翔 

De86NL69−2096686 ♀…“フーデンクラック”と全兄弟姉妹
翔歴)・サンバンサンN
24位53位他3回入賞
     ダックスN3回入賞他

〜〜2002年2月13日(水)〜〜

 

*第3回は、『P.ラーズローム鳩舎』の基礎鳩となった”ド・500”を紹介します。まず、血統構成ですが前述のものを以下にもういちど載せます。

                 父)H58−314945
ド・500             
ヤン・アールデン作(ド・37直子)
 H61−141500      母)H54−696797
 ヘンク・ファンアグトマール作   “ロンバウトの雌”(フェルナール経由)

  ここで、父親の問題です。P.ラーズローム鳩舎の競売リストには上記のようになっていますが、アグトマールの競売リストやアールデンブックではH56−968746となっています。いずれにしてもその両親は同じで以下のようになります。

 父)”ド・37”H50−349737
   
ヤン・アールデン作
              祖父)”Geleende Wagemaker”
 母)”Donkere Delbar”     H48−477428
   H51−285128
              祖母)”Kromme”
                  H48−514176

  アグトマールの競売リストにはド・500の欄に以下のような記載があります。
・H57−704975、de ”Oude 75”
  (Janus van der Wegen)
・H57−369839、de ”Barcelona Duivin”
  (Jan de Weert)
・H58−314951、het ”Vetblauw”
  (Cees de Groot)
・H60−251350、de ”Lichte Kuif”
・H60−251351、de ”Kuif”
  (Marijn van Geel)
・H56−968777、”Donkere Aarden”
  (Jan Cools)

  上記のうち上から5羽はド・500の全兄弟姉妹の関係で、H56の鳩はド・500父と全兄弟です。

  以下はアグトマールの競売リストとアールデンブックから中山が解説したものです。翻訳が忠実であることを願っています。

・H57−704975、de ”Oude 75”
  (Janus van der Wegen)
 
この鳩は、ウェーゲン鳩舎の基礎鳩であるオードドファーチェとの交配により有名な”ド・52”(H64−1096152)を産みました。ド・52は以前ファンゼルデルン鳩舎でも紹介しましたが、H59年のダックスの雌(H59−179376:64年ダックスN総合優勝)とゴールデンペアであり、この交配の直子H65−2028730はヤン・ツー・パスへ流れました。H65−730の直子には有名な”ダフィア号”(73年サンバンサンN総合優勝、マラトンCHベルジュラック総合優勝)がいます。また、ド・52の直子にH70-”ド・49”という鳩がいますがこのド・49の孫に81年バルセロナIN総合優勝鳩がいます。

・H57−369839、de ”Barcelona Duivin”
  (Jan de Weert)
 
この鳩は今更紹介することもないですね。そうです、この鳩の孫に有名な”ベルムト131”がいます。131については以前のコーナーを参照下さい。

・H58−314951、het ”Vetblauw”
  (Cees de Groot)
 
この鳩はデ・グロ−ト鳩舎に渡って貢献しました。手元にあるデ・グロート鳩舎の競売リストから推測すると、デグロート鳩舎の源鳩である”Oude Vale”のラインとの交配で同鳩舎の栗のアールデンを形成したものと思われます。ちなみに、この鳩舎のラインが師匠「柏南ロフト」のアールデンです。

・H60−251350、de ”Lichte Kuif”

・H60−251351、de ”Kuif”
  (Marijn van Geel)
 
M.ファンギール鳩舎と言えば”ド・ドル”が有名です。ドルの母親はアグトマール作H63−306428です。この428の父方祖父にde ”Kuif”が母方祖父にde ”Lichte Kuif”が見られます。カイフ=後頭部逆毛の特長はド・500の血からきていたのですね。今でもカイフ鳩がたまに出現しますが、明らかな劣性遺伝子(劣っているという意味ではない)です。何代もの間隠れていて、隔世的に出現するものはほとんどが劣性の遺伝子です。

・H56−968777、”Donkere Aarden”
  (Jan Cools)
 
Jan Cools鳩舎の代表鳩はこの”Donkere Aarden”の直子である”Zwartje”(H57−422515)です。このBLKCの雌鳩は1959年から1965年の間にサンバンサンとダックスを12回入賞という偉業を成し遂げました。ド・500と異母姉妹になることを考えると本当に鳩はブラッドスポーツの何物でもありませんね。

※ こうやって見てみますと、ド・500の父親はH56−968746が正しいような気がします。

〜〜2002年3月2日(火)〜〜

 

*第4回:後継鳩舎で活躍しているライン

 1990年のオークション後、P.ラーズローム鳩舎経由の鳩で活躍しているラインを調べてみた。いくつか揚げられるだろうが、コール・デ・ハイデ鳩舎が1990年代に顕著な成績を上げている。ラーズローム鳩舎作の84年”De Klamper”のラインだ。この鳩の父=NL74-2385421がどうもすばらしい鳩のような気がする。このNL74の鳩はド・インテールト(ゾーン・500)×ド・26(ドーター・500)というド・500の近親鳩である。
 1990年のオークションで最高種鳩という名の鳩(NL81-1528)もNL74-2385421の直子である。また、このド・インテールト(ゾーン・500)×ド・26(ドーター・500)という交配がいわゆるゴールデンペアであると思われ、このラインで活躍鳩が出ていることで間違いなかろう。
 また、80年代の代表鳩としてクラインチェ(NL81-1524)が挙げられる。ベルジェラックN14位、41位、サンバンサンN39位他計11回サンバンサン、ダックス、ベルジェラックNに入賞している。
       父)NL78-7868907 B(NL74-493×NL69-709)
クラインチェ
       母)NL79-1491678 DC(NL75-017×NL75-204)

〜〜2002年3月9日(土)〜〜