レース鳩の神秘

『第1弾 飛翔の神秘』

飛翔能力=飛びきる力+スピード性

1 帰巣性が強く、鳩舎(実際は巣箱=巣房)に戻ろうとする強い意志。

2 速く飛ぶ能力と長い距離を飛びきる能力を兼ね備えた鳩。

3 放鳩時の方向判定に優れ、先頭集団に入れる鳩。

3は全てのレースという訳ではなく、コンディションが良く速く帰還できうる状態で参加したレースにおける前提条件です。先頭集団にいなければ序列の上位(総合シングル)には入れない。  

鳩(鳥)はなぜ飛ぶことができるのか?

〜〜 翼(羽根)の役割を考える 〜〜

【飛翔の要素を考える】
    鳩(鳥)を構成している部品はすべて飛翔するために必要と考えます。したがってどれも大切なのですが、その中で飛翔能力を見極めるのに必要と思われるものを列挙してみますと・・・、頭脳、気性、骨格、筋肉、翼(羽根)、眼等が挙げられます。
  良く聞く言葉に、「鳩には距離特性がある。」というものがあります。これが所謂血統であり、その血統を背景として持つ飛翔能力ということになります。短中距離で速い鳩、超長距離を飛べる鳩云々・・・・・。では、速く飛ぶためには・・・?長く飛び続けるには・・・?ということになるのですが・・・?
  筋肉(筋繊維)の性能もあるでしょう。頭脳(=状況判断能力)の善し悪しもあるでしょう。いろいろな要素がありますが、我々が目で確認できる翼(羽根)の構造と飛翔力に注目してみたいと思います。

【揚力(浮力)と推進力】

以下は、古世界の住人「新たなる飛翔伝説〜鳥類の翼」
URL http://ameblo.jp/oldword/entry-10014976283.htm
を参考(転載)にしました。

●次列風切(副翼)〜それは揚力●


図1
 
空を飛ぶにはまず
揚力(=下から押し上げられる力)が必要です。揚力を生み出すのが次列風切(副翼)です。次列風切羽(副翼)は湾曲して重なり合い、翼上面が盛り上がっています。(図1)。

図2
 
つまり「円弧翼」を形成しています。揚力を生み出すにはこの円弧翼が有効なのです。その理由は図2を参照ください。(図2)

 翼で風を切るとき翼上面を通る空気は曲がった分、流れる距離が長くなり、流れる速度も速くなります。「水や空気などの流体が、速く流れると圧力が低くなる」というベルヌーイの定理から、翼上面の気圧は低くなり、翼上面と翼下面の気圧差が生じます。圧力というものは、高い方から低い方に流れるので、下から上へ向かう力が働きます。これが「揚力(浮力)」です。 

 

●初列風切(主翼)〜それは推進力●

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図3
   また、空を飛び前に進むためには推進力が必要です。鳥は羽ばたくことによって推進力を得ますが、この推進力を生み出すのが初列風切(主翼)です。鳥は大空を羽ばたくわけですが、それは水面をバタフライ泳法で泳ぐのと同じことらしい。
  というわけで、翼を振り下ろすときにこの初列風切(主翼)で上斜めから下斜めへと空気をかくわけだが、
翼を振り上げる時はどうするのだろうか?それは初列風切(主翼)の左右非対称の風切羽が役に立つのです(図3)。
 
図4
 
図5

この左右非対称の風切羽によって、空気の抵抗を利用してブラインダーのように
閉じたり開いたりできるのです。翼を振り上げる時の空気抵抗は皆無に等しい
  (図4、5)。                                                                        

*初列風切(主翼)・・・一番外側の骨に付着する羽根。飛ぶための推進力を作り
                    出す羽根。左右非対称。飛行機ではプロペラに相当。

 *次列風切(副翼)・・・初列風切につづいて尺骨に付着する羽根。左右対称。
       翼の内側では、次列風切羽は湾曲面をつくって円弧翼を
       形成し揚力を生み出す。

                    (2015年5月24日UP)