【新しい展開を目指して】 2009年8月8日(土)
来年(2010年)以降の異血のために稚内GNレースで実績があり,日本の風土に定着しているライン「ダイヤモンドバーカー系」を導入しました。今回導入した鳩群に関するデータをアップロードします。
*歴代の稚内GN総合優勝者
放鳩期日 | 放鳩時間 | 参加羽数 | 総合優勝 | 所属 | 分速 | |
【第36回】 | 2005年5月11日 | 5時05分 | 3572羽 | プリモロフト | 房総 | 1176m |
【第37回】 | 2006年5月 9日 | 5時00分 | 1993羽 | 高橋 良明 | 水戸 | 866m |
【第38回】 | 2007年5月11日 | 6時10分 | 2254羽 | 根本 幸雄 | 銚子 | 1438m |
【第39回】 | 2008年5月11日 | 5時10分 | 1962羽 | 島田 秀治 | 葛飾 | 1123m |
【第40回】 | 2009年5月 9日 | 5時05分 | 2729羽 | 浅野 栄 | 鹿島 | 960m |
【第41回】 | 2010年5月 9日 | 6時55分 | 1868羽 | 中村 郁夫 | 大千葉 | 1230m |
2011年 月 日 |
東日本 |
大震災の |
ため,中止 |
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【第42回】 |
2012年5月13日 |
5時51分 |
2486羽 |
一文字ロフト |
茨城東 |
1388m |
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上記の表で,1976年第7回大会で総合優勝してる大東京の太田照雄鳩舎,1981年第12回大会で総合優勝している茨城Cの阿内益雄(文雄)鳩舎,1993年第24回大会で総合優勝している日立の西野宮秀夫鳩舎の優勝鳩がこのライン「ダイヤモンドバーカー系」を組んでいます。最近では,2005年のゴールド賞受賞の若林元城鳩舎がこのラインを駆使しているので有名です。
若林元城鳩舎は今年(2009年)の桜花賞レース坂東野州地区連盟900k(汐見)で338羽中総合優勝,3位,10位と連盟シングル3羽の実績を残しています。
ダイヤモンドバーカー系とは・・・ 〔レース鳩誌2002年10・11月号より引用〕
最近では,2005年のゴールド賞受賞の若林元城鳩舎がこのラインを駆使しているのが有名と書きましたが,協会機関誌レース鳩にこの若林元城氏が中心となり『栄光のダイヤモンドバーカー系』と題して2回にわたり特集が組まれています。1回目(2002年10月号)は同系を使翔してる2人の方との対談,2回目(11月号)は若林元城氏がこのラインを主力として日本最優秀鳩舎賞,クラウン賞,東日本GN総合優勝などビックタイトルを総なめにしてきた阿内文雄(益雄)氏を訪問しての対談が記載内容です。
今回この阿内文雄鳩舎を訪問しダイヤモンドバーカー系導入に至りました。以前から誌上では拝見していたものの所謂雲の上の方という感じでしたが,全鳩処分を知って電話したところGN優勝鳩の『プライマリーGN』を見せに来なさいと言われ,抱卵中の『プライマリーGN』を持参して交配用の雄鳩を見せてもらったり鳩談義を楽しませて頂きました(この日は夜の帰宅であったが,相方のオス鳩はしっかり抱卵を続け,その後『プライマリーGN』が交代して抱卵をした)。
〔レース鳩誌2002年10月号の要約〕
ダイヤモンドバーカー系は,東京・浅草で生まれ,本家の太田照男鳩舎はもとより,他鳩舎でも華々しく総合優勝を輩出してきた。その太田氏が物故(1993年1月没)してから間もなく十年が経とうとしている。生前の太田氏を師と慕い,今でもダイヤモンドバーカー系に心酔している若林元城氏が,栄光のダイヤモンドバーカー系について,さらに掘り下げるべく,東京でダイヤモンドバーカー系を継承しているお二方と懇談している様子がレポートされている。
1976年東日本GN総合優勝鳩「ニューダイヤモンドバーカー号」(74AA1369
BC
♂)の母方祖母にあたる68BM9435はダイヤモンドバーカー号妹の直子です。ダイヤモンドバーカー号(62-14038
B
♀)は羽幌ナショナル1000k総合2位の翔歴をもちます。若林氏は1969年の最初の訪問の時に,この68BM9435の姉にあたる68BM9430を分けていただいたそうです。この9430の直系が,驚くほど1000kレースで活躍したそうで,それですっかりダイヤモンドバーカー系のファンになってしまったようです。
この10月号の対談で若林氏が太田氏にダイヤモンドバーカー系の系源について伺った時の話だ出ています。それによると,『地元のスピード系に岩田誠三氏の長距離系を交配して作り上げた長距離スピード系だとのこと』と出ています。地元の筋というのは,協会初代会長の吉川晃史氏など,当時親交のあった方々の鳩だそうです。特に吉川氏のラインからスピード性を受け継いだと太田氏は言われていたとのこと。
ダイヤモンドバーカー号の父親は,吉川氏,田辺大観氏らのラインと岩田氏のバーカー系との交配から生れた鳩で,母親は農林大臣杯を獲得した135628と,かの岩田221号,それぞれの直子が両親です。この鳩の祖先に,イギリスのブルーダイヤモンドバーカーという銘鳩がいて,それがダイヤモンドバーカー号の名前の由来となった話がでています。太田さんは1956年に牛田順一郎氏と初めて岩田鳩舎を訪問して以来,毎年のように岩田鳩舎を訪ね,銘鳩を導入されたそうです。さらに牛田さんが鳩をやめられた時,牛田さんの岩田系や輸入鳩を異血として導入されました。また,ニューダイヤモンドバーカー号には,伊藤純夫氏のアバタ号の血も流れているとのことです。
ニューダイヤモンドバーカー号
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ここでダイヤモンドバーカー系の基礎を作った代表鳩をみてみよう。
ダイヤモンドバーカー号 (血統は現代銘鳩写真大観3も参照した) 62-14038 B ♀ 太田照男鳩舎作翔 翔歴)300k8位,600k9位,800k2位,羽幌ナショナル1000k総合2位 父)59-221118 BC 57-262247 BC 30-39310 B 700k3位 第1回プロレース優勝 500k優勝,600k3位 AU55-44893 BC 600k6位 57-713342 BC 55-99932 BC 700k 岩田誠三氏作 181599 B 800k3位 母)61-10072 B 60-166254 BC 54-135628 RC 800k2回,農水賞 岩田誠三氏作 59-97196 BC 1000k優勝の兄弟 60-151643 BC 57-710221 BC 1000k2位1200k優勝 岩田誠三氏作 58-100551 BP ナショナル1000k優勝 |
8241号 50-8241 B 吉川晃史鳩舎作 8214 B 28251 B 12794 B |
16才で鳩レースに参加する。戦争で鉄工所で働くことになり,鉄工所の寮に入らなければならなくなり鳩は手放すことに。戦後,太田さんが東京に戻ると東京は一面焼け野原になっていた。兄とトンカツ屋さんを経営した頃はまだ鳩を再開しょうととも思わなかった。その後独立して,浅草に自分の店を出す頃になると再開し,当時の江東連合会の200kレースで優勝する。その200kレースの優勝賞品が日本鳩レース協会会長だった吉川晃史氏作の鳩だった。当時吉川さんは在来の銘鳩を沢山所有していたようだ。太田さんは吉川鳩舎まで出掛けて,それらの内の直子を1羽貰う。それが「8241号」でした。
この吉川鳩舎作8241号とグーセンからできた鳩がダイヤモンドバーカー系のおおもととなります。この交配から30-39310ができ,この鳩がダイヤモンドバーカー号の曾祖父にあたります。ダイヤモンドバーカー号は4分の1がこの流れで,あとは岩田誠三鳩舎の長距離系統です。(資料はChampion誌1990年10号の系統確立への道E『ダイヤモンドバーカー系』より引用)
〔レース鳩誌2002年11月号の要約〕
ダイヤモンドバーカー系は,本家・太田照男鳩舎のみならず,全国各地で華々しい活躍を見せている。本号ではダイヤモンドバーカー系を主力としてクラウン賞3回,ゴールド賞1回,シルバー賞1回,日本優秀鳩舎賞3回(うち2回は最優秀鳩舎)を受賞した阿内文雄(益雄)鳩舎を若林氏が訪問した際の対談内容が掲載されている。
阿内氏が太田鳩舎を最初に訪問されたのは,ニューダイヤモンドバーカー号が東日本GN総合優勝した1976年でした。奥に入った東京でぶっちぎりの総合優勝,加えて全姉妹が東日本CH総合3位入賞と全国に岩田系を導入している愛鳩家は多数いますが,太田鳩舎ほどの結果を残した鳩舎はそれほど多くありません。どんな作出技術をお持ちなのかという点にも興味があったと述べています。
特に印象に残った鳩として,ニューダイヤモンドバーカー号の父親であるダイヤモンドキング号とその弟鳩を上げています。その弟鳩0390は地区N総合15位に入賞しており,阿内鳩舎は長い交渉の末に0390を導入しています。そして直子がすぐ飛びました。後の阿内鳩舎の大黒柱となった笹川賞号がその直子です。さらに,笹川賞号からは東日本GN総合優勝(阿内稚内クイン・81号)を含めて4羽の総合優勝鳩がでているとのことです。そのGN総合優勝鳩は,意識してニューダイヤモンドバーカー号と同じような血筋になるように作出したそうです。さらに,このGN総合優勝鳩の血を引く鳩が日立の西野宮秀夫鳩舎で1993年の東日本GN総合優勝を獲得しています。
笹川賞号 77EE4741 BC ♂ 阿内益雄鳩舎作翔 79年Rg 6069羽中総合14位 地区N3148羽中総合 3位 北関東地区笹川賞 父)75AA0390 BC 太田照男鳩舎作 地区N7,172羽中総合15位 兄/ダイヤモンドキング 実兄(上記)の仔/76年東日本GN総合優勝 東日本CH総合3位 母)76AA0991 BW 太田照男鳩舎作 9435の孫 |
【笹川賞号 直系の活躍】:阿内文雄鳩舎資料より
直仔 | 孫 | 曾孫 |
81年東日本GN 8,867羽中総合優勝(阿内稚内クイン・81) 野辺地CH 18,181羽中総合18位(連盟優勝) 6地区GP800K 連盟優勝 地区合同600K 総合優勝 総理大臣賞 連盟1位 地区N 2,810羽中総合10位 |
福島Rg 7,642羽中総合優勝 東日本CH 20,157羽中総合27位 東日本GN 9,946羽中総合11位 地区N 3,423羽中総合9位 |
90年地区N 4地区総合優勝 6地区天塩CH 2,009羽中総合優勝 地区ダービー600K 1,267羽中総合優勝 東日本GN 8,933羽中総合12位 93年東日本GN 9,243羽中総合優勝 |
1993年(第24回大会)東日本GN総合優勝鳩(日立:西野宮秀夫鳩舎) 2009年8月14日(金)
グランドクイーン93 91HB36441 BC ♀ 当日総合優勝(分速 1,303m) 父)90HB00086 DC 西野宮鳩舎作 妹:500kRg総合13位,1000kGN入賞 祖父)88HB25475 BC 阿内鳩舎作 阿内GP号直子 笹川賞号直子×直子 祖母)86HB11249 BC 阿内鳩舎作 東日本CH総合優勝の孫 母)89LH05552 B 宮下 博鳩舎作 祖父)82AH7800 B 宮下鳩舎作 P.ジルモン×トレスコ系 祖母)86LB35834 B 宮下鳩舎作 |
【アスカロフトの展望】
アスカロフトは2003年生れのレーサーから東日本稚内GNレースに向けて取り組んでいる。チームを構成するに当たり骨格となる鳩の系統をバルセロナレースで実績のあるオランダ血統に的を絞った。ピレネー山脈を越えるバルセロナレースは過酷なレースであるが、近年オランダバードはベルギーを押さえて上位入賞を果たしている。その根底に流れる多くの血統が『ヤン・アールデン系』である。
ヤン・アールデン系もアールデン氏の死後多方面に系統が分散した。自分はアールデン系の基礎にみられる,シルバーフオスイエの流れを汲んだオランダのヴィム.ミューラー鳩舎に狙いをつけた。ミューラー鳩舎は1985年と1997年の2回ヨーロッパカップを獲得している鳩舎である。2000年(奇しくもHP作成年次と重なる)のバルセロナINレースでの総合優勝鳩が純のヴィム.ミューラー鳩舎系だったことがきっかけとなった。
海越え(GP800k)を目標に取り組み、ミューラー系でGPレースまでは何とか成績が残せたが,手元のミューラー系では1000k&1100kに届かない・・・。手元で先に成績を出したのが『プライマリーGN』だった。
2009年の作出からは,『プライマリーGN』のラインを選手から種鳩に降ろし作出!転機を自分で作る。また,それと同じくして異血に「銚子地区でGNで実績のあるライン」を導入。さらに2010年の作出をにらんで「ダイヤモンドバーカー系」を導入した!!
2009.12.20
オランダのヴィム.ミューラー鳩舎に狙いを定めたが,日本の帰還コースは山岳地帯を飛び続けなければならず,ピレネー山脈を越えての実績のあるアールデンラインですら,日本では必ずしも通用しなかった。このことは,自分自身が身を持って痛感したことである。
手元にいるGN総合5位の”PrimaryGN”の半弟になる鳩を導入することとなった。作出者にお願いし全兄弟が欲しい旨伺ったが,両親が手元になく,異父兄弟ならいるとのことで無理を言って出していただいた。来春はこの2羽(A.シモンズ父子鳩舎のライン)とダイヤモンドバーカーラインを交配する予定だ。日本に順応したGNレースで実績のあるダイヤモンドバーカーラインをクロスすることでより安定した稚内からの帰還を目指したい。内1ペアはRg500kレース辺りから実績のあるトリ同士の交配なので,中距離の補強にもなると嬉しいのだが・・・。
”阿内キング”♂ | ”PrimaryGN”♀ | ”金野463”♂ | ”阿内クィーン”♀ |
2009年12月20日(日)